地域の話題
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北東アジアの安全保障と日本
2015基地問題講演会


 毎年1回開催される綾瀬市基地対策協議会主催の基地問題講演会が、1月24日(土)の午後、「北東アジアの安全保障と日本」をテーマに、静岡県立大学国際関係学部教授の《伊豆見 元(はじめ)氏を講師に迎え、綾瀬市文化会館小ホールにて開催されました。

   

 伊豆見氏は、ここ数十年の中国の台頭(強大化)が日本を取り巻く安全環境を変えてきたと延べ、18世紀の清の時代のような大国へと復興を遂げている中国経済の状況が大きく関わっていると説明しました。

 「現在の中国は、強大になり自己主張が強まっていて、既存の国際秩序を守ることなく、自国にとって利益のみを受けようと考えている。Free-rider(活動に必要なコストを負担せずに利益を受け取る〜ただ乗り)つまり、独自のルールを作ろうとしている。この勝手な振る舞い・無理難題に積極的に関与していける国はあるのだろうか。抑えることはどの国にとっても無理だろう。なぜなら中国への経済依存率が高いため、その行動を規制していくことが難しいからです。
 アメリカの姿勢は、アジア環太平洋地域を経済の先端とみて重視してはいますが、アメリカは全世界の戦争に関わっている国家だから、力のかけ方を一極集中させずrebalance(配分調整)しているのが現状です。そしてアメリカには今やその力に制限があり無限の力はないだろう。例えば、尖閣諸島に関しても領土問題と決めて関与しないと考えているようです。尖閣問題は当分棚上げされる可能性があります。

 中国の経済は40年も成長し続け、鈍化されたとはいえさらに今後15年ぐらいは、劇的に下落することなくゆるやかな成長を遂げるという見方が多数ですが、国内の格差、不正や汚職、人口問題など大きな問題を抱えています。この先13億人の人々の生活は底上げされて豊かになるのかどうか懸念されますし、不満のはけ口が、外(他国)に向かう可能性もあります。中国がどこまで民主化・自由化するのか予想がつかないのが現状です。

 朝鮮半島については、北朝鮮の核兵器が脅威でしょう。数回の実験で核の小型化を図っているようだ。天然ウランを保有しているので、量産できる可能性があり、核の拡散が心配です。」と伊豆見氏の講演は、中国情勢を中心に行われました。

 日本を取り巻く近隣諸国は流動的です。日本人は、いつ訪れるかわからないリスクに無関心ではいけないのだと感じました。時事問題について訊いたり話したりする時間を持つきっかけがこのような基地問題講演会であったらよいのにと思いました。
 
 参加者のほとんどが高齢者でした。多世代が参加できるのにモッタイナイです。講演会は、毎年開催しています。中・高生の社会勉強に参加を呼びかけてはいかがでしょうか。基地のある地域なのですから。

2015/01/21 リポート 川居 



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