地域の話題
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安全・平和とは!
綾瀬市基地問題講演会
平成23年2月6日


 冬晴れの穏やかな日曜日の午後、綾瀬市役所会議室において基地対策協議会主催の基地問題講演会が開催されました。講師は、安全保障のスペシャリストである森本 敏氏でした。多くの方々の関心をひくテーマであるためか参加人数は200名以上でした。

 森本氏は防衛・国際政治・外交問題など多方面にわたり活躍し著書も多数あります。
 講演では、20年ほど前の冷戦の終焉で社会主義から民主主義へと移行していった東ヨーロッパ諸国の話に始まり、昨年の中国や北朝鮮の問題、また本年1月のチュニジア革命をきっかけにおこったエジプト現政権に対するデモまでの状況をわかりやすく語りました。
 特に中東の話題では、今後起こりうる世界経済の危機などを解説していきました。それらは、人口の30%を若い世代が占めている国が多い中東諸国が抱えている問題(格差・食料・物価のインフレ・失業率など)が現政権に不満を持つ若者たちの手により、その発したネット情報で一国をも揺り動かしてしまったこと。これは誰も予想しえなかった事でありこのような動向に世界は目が離せない状況であること。急激な政権崩壊は、国の形態を大きく変えていくことが懸念されること。また民主主義でも社会主義でもない石油依存の独裁的な国家は他国の影響の波が押し寄せることを危惧していて、更なる石油高騰をおこす材料にもなるので心配であることなどでした。

 東アジアでの話題では、中国の動向が最近著しいことを挙げてその理由のいくつかを説明していきました。

 中国は右肩上がりに経済は発展を遂げているが貧富の差が激しいので13億の国民を統治し社会主義国家を作ることは容易ではない。以前の中国はケ小平氏の【韜光養晦】(中国は国力の無いうちは国際社会で目立った行動をせずにじっくり力を蓄えておこうという意味)が政策の基本方針だったので、軍事力を自らの手で誇示してはいなかったのだが、最近の中国は、外部に軍事力を誇示する路線に変更しはじめている。特に、国境線が国際法などに縛られる陸地での紛争は得策ではないと考え、南シナ海・東シナ海などの海洋に手を伸ばして内海化しようとしている。これは周囲の国々との摩擦や関係の悪化を懸念していないことを意味する戦略変更だろう。このような戦略変更は来年のトップ交代への対外アピールの意図的な意味合いがあるようだが(胡錦涛が習近平、温家宝の後任は李克強)緊迫した情勢であることにはかわらないと解説しました。

 また、北朝鮮も情報が管理されていて不透明な面が多いが、次期リーダーを三男に指名したことなどから揺れ動く状況は予断を許さないだろうということでした。
 日本の米軍の基地問題については、厚木基地の海軍が2014年か2015年には、岩国へ全面移動予定であり、滑走路や住宅を建設中であること、今年の夏頃から少しずつ移動が始まるのではとの話でした。米軍移転の後は、岩国の海上自衛隊が来るとのことです。

 講演会に参加して、いろいろな事を考えることができました。

 綾瀬市の18%を占める基地の存在からおこる騒音被害や落下物への不安、ヘリ不時着などアクシデントへの恐怖などは基地の全面移転まではいつおきてもおかしくないのが現状です。それを考えるとやはり怖いと思いました。反面、近隣諸国からの脅威への備えとしての基地の存在は否定できません。厚木を去った米軍は他の場所に移るだけでその問題の解決には至らないように日本の防衛の本質が問われているのだと思いました。
 TV等で池上Aさんのニュース解説がよく放送されているためか、国内外のニュースを知る機会が増えたので、多くの日本人が本日のテーマである『揺れ動く東アジア情勢』に興味を持ち昨今の尖閣諸島や北朝鮮問題などへの関心も高まっているように感じます。 日々の生活にダイレクトに影響を及ぼさない事件であっても、対岸の火事だからと無関心でいられる状態ではなくなってきていることを実感しました。ジワリジワリと嫌な状況が迫ってきていることを真正面から受け止めて日本の安全問題を取り組む時期だと認識した講演会でした。そして平和に寄りかかって安全だと思っている根拠は何だったのかなと自分への宿題ができました。この講演会でただひとつ残念だったのは、参加者のほとんどが年配者であったことです。若い世代や働き盛りの世代の人達の明日の問題なのですから積極的に参加して情報を拡散してほしいと思いました。

リポート2011/02/06 川居


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